大腸カメラ検査とは?目的や観察範囲・メリットデメリットなどを詳しく解説!

大腸カメラ
大腸カメラ

大腸カメラ検査とは、内視鏡によって大腸の中を観察する検査です。大腸に炎症や腫瘍などの病変がないか、調べるために行います。

検査を受けたことがない方の中には、漠然と「つらそう」「こわい」などネガティブなイメージをもっている方も多く、受けるかどうか迷っている方もいるのではないでしょうか。

大腸カメラは、大腸がんの早期発見や予防に非常に有効です。大腸がんの原因となるポリープの段階で発見できるため、自覚症状がなくても定期的に受けることをおすすめします。

この記事では、大腸カメラ検査の目的や観察範囲、メリットデメリットなどについて解説します。楽な受け方やよくある質問も紹介いたしますので、大腸カメラ検査を受けたことがない方やこれから受けようと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

大腸カメラ検査とは?

大腸カメラ

大腸カメラ検査とは、その名の通り、大腸内を専用のカメラ(内視鏡)を使って観察する検査です。

しかし、具体的にどのような目的でどのような機器を使ってどこまでの範囲を検査するのか、ご存じない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、大腸カメラ検査とはどのような検査なのか、目的や観察範囲などについて詳しく解説します。

大腸カメラ検査とは?

大腸カメラ検査は、「下部消化管内視鏡検査」とも呼ばれ、大腸や小腸の一部を観察する検査です。

太さ約12〜13mmほどのスコープの先端に超小型サイズのCCDカメラと照明がついた機器を用い、大腸内に大腸ポリープや炎症性腸疾患、憩室症、大腸がんなどの病変がないか、くまなく確認します。

大腸カメラ検査では、カメラから送られた映像をモニターで直接見ながらスコープを進めていきます。

モニターに映し出される映像は非常に鮮明です。体の内部が手に取るように分かるため、5mm以下の小さな病変やヒダの裏にある病変まで発見できます。

なお、大腸は大腸カメラ検査以外の方法で詳しく調べることができません。何らかの症状がある場合は早めに受けるようにしましょう。

大腸カメラはどこから入れるの?

大腸カメラ検査を受ける際、気になるのが「どこから入れるのか」ということでしょう。

大腸カメラを挿入する場所は「肛門」からです。お尻から入れたカメラを大腸の一番奥まで進め、抜きながら大腸のすべてを観察していきます。

大腸カメラの目的

大腸カメラ検査の目的は、「大腸内を観察して見つけた病変ががんであるかどうかを判別し、深達度を予測すること」です。

さらに詳しくいうと、大腸カメラ検査の目的は2つあります。

ひとつは粘膜にある病変を観察し、がんかそうでないかを判別すること、もうひとつは病変ががんであった場合に、どのくらいの深さにまで及んでいるのかを予測することです。

また、どのような治療を行うかを決めるために、病理検査で使用する組織を採取するのも、大腸カメラ検査の目的のひとつです。

従来の内視鏡検査では、カメラで粘膜の表面を観察することはできても、それががんなのか肉眼で判別することはできませんでした。

しかし技術が向上したことにより、画像が鮮明になり拡大もできるようになったため、粘膜の表面を観察するだけで病変の性質を判別でき、さらに深達度まで測定できるようになりました。

なお、大腸カメラは血便など大腸内病変が疑われる症状があるとき以外にも、定期検診や経過観察などの目的で行うことがあります。

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大腸カメラで観察できる範囲

大腸カメラで観察できる範囲は、大腸と小腸の一部までです。具体的には、直腸から結腸、盲腸、回腸末端までの間に異常がないかを調べます。

通常、口から入った食べ物は口から食道、胃、小腸、大腸、肛門という順に通って最終的に便として排出されますが、大腸カメラではこれを逆から進んで大腸内を観察していきます。

大腸の長さは、個人差はあるものの大体150cmほどです。患者さんの腸の形に合わせて仰向けや右向きなど体の向きを変えながらカメラを進めていきます。

大腸カメラ検査のメリットデメリット

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大腸の中をくまなく観察し、病変の有無や性質、深達度を測定できる大腸カメラには、さまざまなメリットがあります。しかしそれと同時にデメリットもあることを知っておかなければいけません。

ここでは、大腸カメラ検査のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

大腸カメラ検査のメリット

以下は、大腸カメラ検査のメリットです。

  • 検査と同時に治療ができる
  • 目で見て直接確認できる
  • 病気の早期発見ができる

大腸カメラ検査のもっとも大きなメリットは、検査と同時に治療ができることです。

病変を直接目で見て観察し、必要に応じて拡大や画像強調などの精査ができるため、検査中にポリープなどの病変が見つかった場合、その場で診断を確定して切除できる可能性があります。

また、大腸カメラ検査は大腸がんなどの早期発見や予防にもつながります。

大腸がんは早期発見すれば、他のがんと比べて治る可能性の高いがんです。見つかっても治る見込みの少ないがんであれば、検査を受けるメリットは少ないですが、大腸がんは段階に応じて多くの治療法があるため、検査を受けるメリットが大きいといえるでしょう。

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大腸カメラ検査のデメリット

以下は、大腸カメラ検査のデメリットです。

  • 検査中に腹痛や腹部膨満感がある
  • 大腸すべてを観察できない・病変が見えない場合もある
  • 稀に大腸から出血や穿孔をきたすことがある

大腸カメラ検査では、腸内を膨らませて見やすくするために炭酸ガスを入れたり、大腸がカメラによって強く押されたりすることで、痛みや腹部膨満感が生じる可能性があります。

空気の代わりに少量の水を用いる「浸水法」であれば、痛みや腹部膨満感を抑えながら検査を行えるため、痛みや腹部膨満感が不安な場合は、浸水法での検査を行っている医療機関で検査を受けるようにしましょう。

また、大腸カメラ検査では、大腸すべてを観察できずに検査が終わる可能性もある点に注意が必要です。小さい病変だと、ヒダに隠れて見えない可能性もあるでしょう。

なお、発見したポリープは検査中に切除できますが、稀に出血や穿孔をきたすことがあるため、大腸カメラ検査では、サイズが1cmを超えるものや形態的に切除が困難なものは、その場で切除できない可能性があることを理解しておきましょう。

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大腸カメラ検査が困難とされる方の場合は、大きさが長さ3cm、幅1cmほどの大腸カプセル内視鏡を用いて検査をする場合もあります。

大腸カメラ検査の負担を減らす楽な受け方

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大腸カメラ検査の前は、腸管洗浄剤をたくさん飲んで頻繁にトイレへ行かなければいけません。また、検査のやり方によっては、検査中や検査後に痛みや腹部膨満感が起こる可能性があります。

では、これらの大腸カメラ検査による患者さんへの負担は、どうすれば軽くなるのでしょうか。

以下は、大腸カメラ検査の負担を減らす楽な受け方の例です。

  • 自分に合った腸管洗浄剤を選ぶ
  • 検査時はお腹の力を抜いてリラックスする
  • ガスをどんどん出す
  • 痛みが少ない方法で検査を行っている医療機関を受診する

大腸カメラ検査では、腸管洗浄剤を飲んで腸の中を空にしますが、液体タイプの腸管洗浄剤はたくさんの量を飲まなければならないため、つらくなってしまうことがあります。

そのような場合は、錠剤タイプの腸管洗浄剤を取り扱っている、または鼻からチューブ越しに入れる方法も導入している医療機関で検査を受けるようにしましょう。

検査中は、お腹の力を抜いてリラックスすることも大切です。

大腸カメラ検査はお腹に力を入れてしまうとカメラが進みにくくなる可能性があるため、お腹に力が入らないようにすると、挿入時の痛みを軽減できます。

また、お腹が張って苦しいときは、ガス(おなら)をどんどん出してください。

空気がたまりすぎると、お腹が痛くなったり吐き気がしたりする可能性もあるため、恥ずかしがらずにおならをしましょう。

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大腸カメラについてよくある質問

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最後に、大腸カメラについてよくある質問を紹介します。ぜひ、大腸カメラを受ける際、検討する際の参考になさってください。

Q:大腸カメラ検査はどれくらいの頻度で受けるべきですか?

日本で推奨されている大腸カメラ検査の適切な頻度は「5年に1回」です。

ただし、40歳以上の方やポリープがあることが分かっている場合、大腸がんのリスクが高い場合などは、半年から1年ごとに検査を受けるようにしましょう。

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Q:大腸カメラ検査にかかる費用はいくらくらいですか?

大腸カメラ検査にかかる費用の目安は、観察のみの場合で4,000〜6,000円程度です。

それに加えて、炎症やポリープが見つかって生検が必要になった場合やポリープを切除した場合、病理組織検査などを行った場合は、合計で13,000〜34,000円程度かかります。

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Q:ポリープを切除する際に痛みはありますか?

通常、ポリープを切除する際は局所麻酔や全身麻酔が用いられるため、痛みを感じることはありません。

ただし、術後の不快感や軽度の痛みを抑えるために、痛み止めが処方されることがあります。

まとめ

大腸カメラ検査の目的や観察範囲、メリットデメリットなどについて詳しく解説しました。

大腸カメラ検査は、大腸内に大腸ポリープや炎症性腸疾患、憩室症、大腸がんなどの病変がないか確認する検査です。

血便や下痢、便秘、腹痛などの症状がある場合はもちろん、定期検診や経過観察などの目的でも用いられます。

一見ハードルが高そうに見えますが、最近は痛みや腹部膨満感を抑えて検査を行えるため、大腸カメラ検査が初めての方や苦手な方も、ぜひ定期的に受けてみてください。

横浜市にある『菊名内科内視鏡クリニック』では、経験豊富な専門医による大腸カメラ検査を行っています。

検査中の痛みや腹部膨満感の少ない「浸水法」を用いた検査を行っておりますので、大腸カメラ検査が初めての方でも安心して受けていただけます。まずはお気軽に『菊名内科内視鏡クリニック』までご相談ください。