胃の健康状態を確認するために定期的な健康診断を受けていますか?
日本人はがんによる死亡数が多く、特に胃がんは死亡要因の中でも、肺がん、大腸がんに次いで3番目の死因となっています。
長寿大国である一方で、歳を重ねるごとにがんの発症リスクは高まっていくため、定期的な検診が重要だといえます。
この記事では、胃がんの早期発見を目的に実施される検査の中でも代表的な胃カメラとバリウム検査について詳しく解説します。
Contents
胃カメラ検査の概要
胃カメラ検査は、口や鼻からチューブのようなカメラを挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜表面を明るい光源で照らしながら観察する治療法です。
カメラを胃の内部へと直接挿入しているため、胃内部の健康状態に関わる詳細な情報を得ることができます。
胃カメラ検査の手順
胃カメラ検査を実施する際の手順は以下の通りです。
- 検査前日の午後8時頃までに夕食を済ませ、朝食を抜く(水は摂取可)
- 消泡剤による胃の洗浄・麻酔投与
- 内視鏡を口・鼻から挿入する
- 胃内部を診察する(目安として5~10分で終了します)
- 麻酔が抜けるまで安静にする
胃の内部に異物(内視鏡)を挿入することになるため、「痛みがあるのではないか?」と不安を感じるかと思いますが、検査には麻酔が使われるため心配はありません。
内視鏡を胃へと挿入する際は、喉の部分で内視鏡を上手く飲み込む必要があります。
無理に飲み込もうとする必要はなく、肩・首・喉の力を抜き、自然の状態を保つようにしておくとすんなりと挿入できます。
挿入後は腹式呼吸をするように意識すると検査がスムーズに進みます。
検査終了後は、麻酔が抜けるまでの約30分安静にしておくように案内されます。検査終了後は、検査当日の激しい運動や長時間の入浴は避けるようにしましょう。飲水・飲食については、検査終了後1時間後くらいから摂取可能となっています。
バリウム検査の概要
バリウム検査は胃や腸内部を検査するにあたって行われるX線検査の一種です。
検査実施にあたって、あらかじめバリウム溶液を服用し、胃や腸へと流れていくバリウム溶液の様子から、胃内部の構造や動きを陰影画像として確認します。
画像診断は胃全体を対象として行われるため、胃全体の健康状態を広く確認することが可能となっています。
バリウム検査の手順
バリウム検査は以下の手順で行われます。
- 検査前日の午後8時頃までに夕食を済ませ、朝食を抜く(水の摂取も検査2時間ほど前までに済ませておくことが望ましいです)
- 発泡剤を服用する
- バリウム溶液を服用する
- 撮影技師の案内のもと、X線画像を撮影する
- X線画像をもとに診察を行う
- 下剤を飲んで体内のバリウムを排出する
バリウム検査をスムーズに行う最初のコツは発泡剤の服用です。
絶食状態の胃はしぼみきっており、この状態で撮影を実施しても胃全体の様子を適切に観察することができません。そのため、発泡剤を服用し胃を強制的に膨らませる工程が必要になりますが、その際はげっぷを我慢する必要があります。
唾を飲み込むように意識する、または鼻呼吸を意識すると、効率的にげっぷを抑えることができます。
発泡剤の服用後は、バリウム溶液を服用します。バリウム溶液の服用後、X線による撮影が行われますが、胃の粘膜にバリウムをまとわせるために、撮影技師から体を回転させるように案内がされます。
バリウム溶液が腸へと流入し始めると、胃の撮影が十分にできない可能性もあるため、案内をきちんと聞き、スピーディーに体を動かすようにしましょう。
胃カメラとバリウム検査の比較
ここでは、それぞれの検査方法を比較しながら、両者の特徴を詳しく解説していきます。
メリット
胃カメラとバリウム検査のメリットは以下の通りです。
胃カメラ | バリウム検査 |
---|---|
・胃がんの発見における精度が高い ・生体検査も実施できる ・ピロリ菌/胃炎の検査を行える | ・胃の全体像を一度に観察できる ・検査費用を抑えられる ・実施しているクリニックが多い |
胃カメラとバリウム検査を比較した場合、料金や実施クリニックの数、体に掛かる負担など、検査実施の手頃さではバリウム検査に軍配が上がるといえるでしょう。
また、バリウム検査は胃の全体像を一度に診察する検査方法であるため、胃の健康状態を把握したり、何らかのリスクが潜んでいないかをチェックできる点に強みがあります。
胃カメラの場合、検査実施で胃の形状や凹凸、色など視覚的に詳細な情報を得られる点が一番の強みです。
胃がんを発見するという点においては、バリウム検査では確定的に判断することが難しいケースがあります。バリウム検査による診察はX線による陰影画像に基づいて行われ、色味を確認できないためです。
胃がんは必ずしも腫瘍化したものばかりではなく、赤みを帯びていて胃がんへと進行してしまうリスクが潜んでいるものや、色味が抜けて白くなってしまっている退色性のがんも存在します。
詳細な情報をもとに、胃がんの早期発見を実現しやすい点は胃カメラが優勢だといえます。また、何らかのリスクが考えられる場合、実際に組織を採取して検査を実施できる点も胃カメラ独自のものだといえるでしょう。
デメリット
胃カメラとバリウム検査のデメリットは以下の通りです。
胃カメラ | バリウム検査 |
---|---|
・検査費用がバリウム検査と比較して高い ・実施施設がバリウム検査と比べて少ない ・検査時間が長い | ・粘膜の色や細かな凹凸などを捉えることが難しい ・(人体に影響は及ぼさないものの)少量の放射線被ばくがある ・バリウムの硬化によって便秘になることがある ・異常が確認された場合、結果的に胃カメラを実施することもあり二度手間となることがある |
胃カメラとバリウム検査を比較した場合、金銭的な面や検査における負担などは、どうしても胃カメラの方が大きくなりやすいといえます。
また、胃カメラの場合、胃内部へと内視鏡を挿入する必要がありますが、嚥下困難(えんげこんなん)の方や麻酔に対するアレルギーがある方などは実施が難しいケースがあります。
バリウム検査は、胃全体を画像診断で診察できるものの、胃カメラと比較すると細部に亘る詳細な診断を行うことは難しいです。
そのため、バリウム検査によって何らかの問題が考えられる場合、それを詳細に確認するために胃カメラを行うことになる場合があります。
胃カメラとバリウム検査はどちらが適している?
結論からいうと、胃カメラとバリウム検査はそれぞれを複合的に組み合わせることが望ましいといえます。
胃カメラもバリウム検査も、実施する大きな目的として胃がんの早期発見があります。一言で胃がんといっても多様な種類が存在し、多くは粘膜面に異常をきたします。
粘膜の正常な状態と異常をきたしている場合を的確に診断するには、胃の内部を詳細に確認できる胃カメラが最大限の効果を発揮できるといえるでしょう。
しかし、胃がんの中にはスキルス胃がんというものもあり、粘膜面に変化を起こさず、胃の壁全体を這うようにがん細胞を侵食させる種類もあります。
このような胃がんを発見するためには、胃の形や動きなどを全体的に捉えることが可能なバリウム検査の方が早期発見につながりやすいです。
以上を踏まえ、さまざまある胃がんを的確に発見するためには、粘膜に強く細かな部分の診察に適した胃カメラと、胃を全体的に診察し動きや形状の変化を診察しやすいバリウム検査とを組み合わせることが望ましいといえます。
検査を受ける際のスタイルとして、普段の健康診断ではバリウム検査を行い、胃に何らかの病気が現れるリスクが潜んでいないかを定期的にチェックしておき、リスクが確認された次回の検査では胃カメラで詳細に把握するようにするといった流れを推奨します。
まとめ
胃カメラとバリウム検査は、それぞれ金銭的・身体的にかかる負担の大きさや、検査にて明らかとなる情報に大きな違いがあります。それぞれの検査の特徴を理解し、最小の負担で最大の健康状態の把握に努められるようにしましょう。
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