胃カメラでピロリ菌感染がわかる!検査から除菌治療の方法まで詳しく解説

胃カメラ ピロリ菌
胃カメラ ピロリ菌

胃カメラ検査は、胃の病気を見つけるための大切な検査であり、ピロリ菌の発見にも役立ちます。

ピロリ菌の感染が確認された場合、その症状や合併症の有無に応じて適切な治療が行われます。胃カメラ検査はピロリ菌以外にも、さまざまな病変や疾患の発見につながるため、定期的に検査を受けることが望まれます。

この記事では、ピロリ菌とは何か、検査・除菌する方法についてわかりやすく解説します。健康と快適な生活を維持するためにも、ぜひ参考にしてください。

胃カメラで発見できるピロリ菌とは

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そもそもピロリ菌に感染しているとどのようなことが起こるのでしょうか。ここでは、ピロリ菌感染症と、感染の確認方法・費用を解説します。

ピロリ菌とは何か?

ピロリ菌とは、胃の粘膜に住む細菌の一種です。

人から人への接触や食品、水などを介して感染し、日本では成人の約6割がピロリ菌に感染しているといわれています。

ピロリ菌は胃酸を中和する物質を分泌し、胃の粘膜を傷つけます。その結果、胃の不調や胃痛などの症状を引き起こすことがあります。  

ピロリ菌の症状と合併症

ピロリ菌の症状には個人差があります。

一部の人は特に自覚症状がないまま感染していることもありますが、長期間にわたってピロリ菌に感染していると、胃の粘膜が慢性的に炎症を起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの胃腸疾患を発症する可能性が高まります。

また、ピロリ菌は胃がんや胃MALTリンパ腫などの悪性腫瘍のリスク因子にもなります。これらの合併症は、重篤な場合には命に関わることもあります。

ピロリ菌検査の種類と精度・費用

ピロリ菌感染の有無を調べるためには、さまざまな検査方法があります。代表的なものは以下の通りです。

検査方法特徴精度費用
血液検査

血液にあるピロリ菌に反応するもの(抗体)の量をはかる

低い

安い

便検査

便にあるピロリ菌の特徴的なもの(抗原)をはかる

高い

安い

呼気検査

尿素呼気検査(UBT)という方法で行う。尿素という物質にラベル付けされたカーボン(C13またはC14)を含む液体を飲んでもらって、呼気からカーボンの量をはかる

高い高い
胃内視鏡検査

胃カメラと呼ばれる細い管を口から飲み込んで胃内を直接観察する。胃の粘膜から組織を採取して検査する

最高高い

胃カメラ検査とは

胃カメラ ピロリ菌

ここからは、ピロリ菌感染の発見につながる胃カメラ検査の特徴や、検査の流れについて紹介します。

胃カメラ検査の特徴

胃カメラ検査とは、胃の内部を隅々にわたって観察し、病変を発見できる検査のことです。

胃内視鏡と呼ばれる細い管の先端には、カメラや光源、吸引装置などがついています。この胃内視鏡を口から飲み込んで食道、胃、十二指腸まで挿入します。

胃内視鏡が撮影した映像を通して、胃の粘膜の色や形、炎症や潰瘍などの異常を詳しく観察できます。

また、ピロリ菌の有無を調べるためには、胃の粘膜から組織を採取して検査する必要がありますが、これも胃カメラで行うことができます。

胃カメラ検査を受けるべき人と受けるタイミング

胃カメラ検査は、ピロリ菌感染の疑いや胃の病気の早期発見のために、定期的に受けることがおすすめされます。

特に、以下のような症状のある方は、なるべく早く胃カメラ検査を受けるべきです。

  • 胃の不調や胃痛が長く続く人
  • 食欲不振や体重減少などの全身症状がある人
  • 吐血や下血などの出血症状がある人
  • 家族に胃がんやピロリ菌感染者がいる人
  • 喫煙者や過度な飲酒者
  • 50歳以上の人

胃カメラ検査を受けるタイミングですが、自覚症状がある場合は早急が望ましいです。自覚症状がない場合でも、定期的に受けることで早期発見・早期治療につながります。

一般的には、50歳以上の人は1年に1回、40歳以上の人は2年に1回、30歳以上の人は3年に1回程度受けることが推奨されています。

ただし、これまで胃がんの治療をした方やピロリ菌除菌後の方は1年に1回の検査は必要となります。

胃カメラ検査の流れと注意点

胃カメラ検査の一般的な流れは、以下の通りです。

①検査前日

検査前日から食事制限を行います。特に夕食は軽めにし、午後9時以降は何も食べないようにします。水分摂取も控えめにしましょう。

また、服用している薬や持病などがあれば医師に伝えてください。

②検査日の検査まで

検査室に入り、喉を麻酔するスプレーを吹きかけます。

その後、経口内視鏡検査の場合は口にゴム製の口当てを噛んで固定し、経鼻内視鏡検査の場合は鼻腔内を麻酔した上で、そこから胃カメラを挿入します。検査する病院によっては鼻から入れることも可能です。

局所麻酔の場合、挿入時には苦しさや吐き気を感じることがありますが、深呼吸をして落ち着いてください。

胃カメラは約5〜10分程度で胃内を観察し、必要に応じて組織を採取します。検査が終わったら、胃カメラをゆっくりと引き抜きます。

最新機器の中には、苦しさや吐き気を感じにくいものがあります。鼻からの検査では、検査中に医師と話せるので、安心して検査ができます。

鎮静剤の場合、点滴によって麻酔をされているので、文字通り眠っている間に終わります。

③検査後

検査後は、喉の麻酔が切れるまで、または全身麻酔が切れるまで約1時間ほど安静にします。その間は飲食を控えてください。

また、胃カメラによって胃の粘膜が刺激されたため、胃の不快感やゲップなどが出ることがありますが、通常はすぐに治まります。

ただし、激しい胃痛や吐血などの異常がある場合は、すぐに医師に相談してください。

胃カメラによるピロリ菌の除菌治療について

胃カメラ ピロリ菌

胃カメラでピロリ菌に感染していると診断された場合、医師によって適切な措置や治療が行われます。

ピロリ菌の除菌治療や治療に使用される薬について、詳しく解説します。

ピロリ菌除菌治療とは何か?

ピロリ菌除菌治療とは、ピロリ菌をお腹の中から除去するための治療です。

ピロリ菌を除去することで、お腹の不調や胃痛の改善、胃がんや消化性潰瘍などの重い病気を防ぐ効果が期待できます。

一般的には、以下のような状態の患者さまにピロリ菌除菌治療が行われます。

  • ピロリ菌感染が確認された人
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの胃腸疾患がある人
  • 胃がんや胃MALTリンパ腫などの悪性腫瘍がある人や家族にいる人
  • ピロリ菌感染による貧血や低血圧などの全身症状がある人 

ピロリ菌除菌治療に使われる薬と副作用

ピロリ菌除菌治療に使われる薬は、主に抗生物質と制酸薬です。抗生物質は、ピロリ菌を殺すために使われます。

制酸薬は、胃の酸を減らして、胃の粘膜を守る目的で使用されます。通常は、2種類の抗生物質と1種類以上の制酸薬を組み合わせて服用し、期間は1週間です。

ピロリ菌除菌治療に使われる薬には、以下のような副作用が見られる場合もあります。

  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢や便秘
  • 食欲不振や口内炎
  • 発疹やかゆみ
  • 頭痛やめまい

これらの副作用については、ほとんどの場合、軽度で一時的なものです。症状が重度な場合や、副作用が長期的におさまらない場合は、速やかに医師に相談してください。また、アレルギーや持病がある場合は、事前に医師に共有しましょう。

除菌治療後の確認検査と注意点

除菌治療後は、確認検査を受けて、ピロリ菌が本当になくなったかどうかを確かめる必要があります。

確認検査は、除菌治療終了後8週間以上経ってから行います。確認検査には、呼気検査がおすすめされます。

血液検査は、抗体が残っている可能性があるため、正確ではありません。除菌治療後に気をつけるべきことは、以下のとおりです。 

食生活を見直す

ピロリ菌感染の原因の一つに、不衛生な食事があります。除菌治療後も、清潔な食器やカトラリーを使い、生ものや加熱不十分なものは避けましょう。

また、野菜や果物などのビタミンや食物繊維を多く含む食べ物を摂ることで、胃の粘膜を強化することができます。

喫煙や過度な飲酒を控える

喫煙や過度な飲酒は、胃の粘膜を刺激し、胃酸の分泌を増やします。これは、胃の不調や胃痛の原因になります。

また、喫煙は胃がんのリスクを高めることもあります。除菌治療後も、喫煙や過度な飲酒は控えましょう。

再感染防止策をとる

ピロリ菌は、人から人への接触でうつる可能性があり注意が必要です。そのため、家族も一緒に検査や治療を受けることがおすすめです。

また、歯ブラシやタオルなどの個人用品は共有しないようにしましょう。

まとめ

この記事では、胃カメラでピロリ菌を検査・除菌する方法とメリットについて詳しく解説しました。

胃カメラ検査は、胃の病気を見つけるための大切な検査ですが、不安や恐怖を感じる人も多いでしょう。

しかし、胃カメラ検査によって、自分の胃の状態やピロリ菌の感染の有無を正確に把握することが可能です。ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を受けることで、胃の不調や胃痛を改善し、胃がんや消化性潰瘍などの重篤な病気を予防できます。

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検査は予約制となりますが、当日の検査の枠の状況、患者様の症状により当日検査にも対応しています。ご自身の健康にご不安・ご心配な方はお気軽にお問い合わせください。