内視鏡検査は胃炎や胃潰瘍、胃がんなど、さまざまな消化器官の病変の早期発見につながる検査です。
近年では検査時の嘔吐感などの苦痛から、口からスコープを挿入する経口内視鏡ではなく、苦痛が少ない鼻から挿入する経鼻内視鏡を選択する方が増えています。
しかし、鼻からスコープを挿入する経鼻内視鏡検査の場合、「アレルギー性鼻炎の症状がひどいけど検査を受けられるのか?」と心配する方もいるかもしれません。
基本的にアレルギー性鼻炎の症状があっても経鼻内視鏡検査は受けられますが、医師の判断によっては、検査直前でも経口内視鏡へと変更になることもあります。
この記事では、アレルギー性鼻炎の症状があっても経鼻内視鏡検査はできるのか、検査を受ける際の注意点、検査が難しくなる症状について解説します。
Contents
アレルギー性鼻炎でも経鼻内視鏡検査はできるの?
アレルギー性鼻炎の症状があっても、基本的に経鼻内視鏡検査は可能です。
アレルギー性鼻炎の症状による炎症反応が続くと粘膜がむくんでしまいますが、検査前にむくみを取る薬を噴霧する前処置を行うため、症状があっても検査できます。
ただし、アレルギー性鼻炎の症状が強く鼻の粘膜が肥厚している場合は、経鼻内視鏡検査ができません。
経鼻内視鏡は約5.0~6.0ミリほどのスコープを用いて検査を行いますが、肥厚姓鼻炎になっている場合はスコープが鼻腔を通らなかったり、粘膜を傷つけてしまうおそれがあります。
そのため、アレルギー性鼻炎の症状が強い方は、口からスコープを挿入する経口内視鏡検査に変更する可能性があります。
アレルギー性鼻炎の症状が落ち着いている時期であれば経鼻内視鏡検査は可能ですが、病変の早期発見が遅れてしまう場合があるため、経口内視鏡検査に切り替えるなど、検査は優先的に行いましょう。
アレルギー性鼻炎の症状のある方が経鼻内視鏡検査を行う際の注意点
アレルギー性鼻炎の症状をお持ちの方は、経鼻内視鏡検査の前に知っておくべき注意点があります。注意点を把握しておくことで、鼻と口どちらからの検査を進めていくかを検討する判断材料となるでしょう。
ここでは、経鼻内視鏡検査を行う際の注意点を解説します。
鼻詰まりによって検査中に呼吸を整えるのが難しくなる
アレルギー性鼻炎の症状が強い方は、検査中に呼吸を整えるのが難しくなる可能性があります。
経鼻内視鏡検査は、口からスコープを挿入する経口内視鏡検査とは異なり口がふさがれることがないため、基本的には常時口呼吸です。経口内視鏡検査のように口がふさがれないことで、検査中の呼吸が楽というメリットがあります。
しかし、アレルギー性鼻炎の症状が強い方は、鼻からスコープが挿入される違和感に加え、鼻詰まりによって検査中の呼吸のしにくさに苦痛を感じてしまうこともあるでしょう。
苦痛の少なさから選択した経鼻内視鏡検査だとしても、アレルギー性鼻炎の症状が強い方は、かえってつらい思いをしてしまう可能性も考えられます。
当院では直径わずか5.8ミリの細径内視鏡を用い、局所麻酔も使用して検査を行うため、口から挿入する経口内視鏡でも少ない苦痛で検査が可能です。
アレルギー性鼻炎の症状が強く、呼吸に心配のある方は一度ご検討ください。
挿入時および検査後に痛みを感じる場合がある
経鼻内視鏡検査は、挿入時および検査後に痛みを感じる場合があります。
特にアレルギー性鼻炎などで鼻の粘膜が肥厚していると、挿入するスコープが粘膜に接触して、痛みが生じやすくなってしまいます。
挿入時の痛みがひどい場合は一度検査を中断し、鼻の麻酔をもう一度やり直してから検査を行います。
それでも挿入時の痛みや違和感が強い場合は、無理をせずに経口内視鏡による検査に切り替えましょう。
また、検査後にも鼻の痛みや違和感、くしゃみや鼻水が出る場合もありますが、しばらくすると症状はおさまるため心配はありません。
症状がおさまる時期を待っていると病変の早期発見が遅れる場合がある
花粉症などの時期的なアレルギー性鼻炎の症状をお持ちの場合、症状が落ち着いている状態の方が検査には最適です。
しかし、症状がおさまる時期を待っていると、病変の早期発見が遅れてしまうことがあります。胃がんや食道がんは、早期発見して治療することにより、死亡のリスクを減らすことができます。
苦痛の少ない経鼻内視鏡検査を行いたいからとはいえ、アレルギー性鼻炎の症状がおさまる時期を待って検査を先延ばしにしてしまうと、早期発見が遅れてしまいます。
みぞおち周辺の痛み、不快感、胸焼け、吐き気、食欲不振などの自覚症状が現れている場合は、アレルギー性鼻炎の症状が落ち着くのを待たず、経口内視鏡検査で検査しましょう。
アレルギー性鼻炎以外に経鼻内視鏡検査が難しくなる症状
アレルギー性鼻炎以外にも、経鼻内視鏡検査が難しくなる症状があります。
症状によってはスコープの挿入が困難だと判断され、口からスコープを挿入する経口内視鏡検査に変更されます。
ここでは、アレルギー性鼻炎以外に経鼻内視鏡検査が難しくなる症状を解説します。苦痛の少ない経鼻内視鏡検査を自分が受けられるかどうか、事前に確認しておきましょう。
鼻腔が狭い方
鼻腔が狭い場合、経鼻内視鏡による検査が難しいことがあります。5.0ミリ~6.0ミリほどの小さな内視鏡であっても、鼻腔が極端に狭い方にはスコープを挿入できません。
狭い鼻腔に無理やりスコープを挿入すると、粘膜に接触して痛みを生じたり、場合によっては出血を伴う可能性があります。
また、もともと鼻腔が狭い方がアレルギー性鼻炎を発症した場合、狭い鼻腔が炎症によってさらに狭くなり、検査が困難になります。
片側の鼻腔だけが狭いのであれば反対側の鼻からアプローチをかけますが、両方の鼻腔からの挿入が困難と判断された場合は、口からスコープを挿入する経口内視鏡検査にて対応します。
鼻中隔湾曲症の方
鼻中隔湾曲症の方は、経鼻内視鏡を挿入した際に痛みを感じやすいため推奨できません。
鼻中隔湾曲症とは、鼻を左右に分けている鼻中隔という壁が曲がっている症状です。鼻中隔が曲がっていると、経鼻内視鏡を挿入する際に鼻腔のどこかに強く接触してしまうことが考えられます。
内視鏡検査は、消化器官を観察するためにスコープを動かすため、鼻腔に接触する部分が多いと、痛みが発生する原因となります。
生まれつき鼻中隔が曲がってしまっている方もいますが、鼻の骨折などで手術経験がある方も鼻からの検査が難しくなってしまいます。
特に普段からいびきのひどい方は、鼻中隔湾曲症の可能性があるため、経口内視鏡を使用した検査がおすすめです。
副鼻腔炎の症状や鼻ポリープ(鼻茸)のある方
副鼻腔炎の症状や、それに伴う鼻ポリープ(鼻茸)のある方は経鼻内視鏡検査ができない場合があります。
副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれ、ウイルスや雑菌、アレルギーが原因となり、副鼻腔の粘膜に炎症が起こり、膿が溜まる病気です。慢性副鼻腔炎の方は、粘膜が腫れてコブ状になった鼻ポリープ(鼻茸)ができてしまうこともあります。
これらの疾患のある方は炎症によって鼻腔が狭くなり、鼻からスコープを挿入するのが困難です。診察の際は担当医へ副鼻腔炎であることを事前に伝え、経鼻内視鏡による検査が可能かどうか判断を仰ぎましょう。
まとめ
経鼻内視鏡検査はアレルギー性鼻炎の症状をお持ちの方でも、前処置で粘膜のむくみを取る薬を噴霧するため、基本的には検査可能です。
ただし、花粉などによってアレルギー性鼻炎の症状が強い場合は、鼻の粘膜が肥厚していて検査が難しくなってしまいます。
また、アレルギー性鼻炎以外にも鼻腔が狭い方、鼻中隔湾曲症の方、副鼻腔炎や鼻ポリープ(鼻茸)の症状がある方は、経鼻内視鏡による検査ができない場合もあります。
その場合、口からスコープを挿入する経口内視鏡検査になるでしょう。
胃内視鏡検査を受けるなら鼻と口どっち?検査方法を選ぶ際のポイント
菊名駅から徒歩1分、横浜市にある『菊名キュアーズクリニック』は、フジフイルム社製最新の細径内視鏡を採用しており、鼻からだけでなく、口からでも苦痛の少ない検査が可能です。
局所麻酔を使って検査を行うため、挿入時の嘔吐感や痛みなどを軽減し、心身ともに少ない検査を受けられます。
アレルギー性鼻炎の症状をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。