大腸の症状は多岐にわたり、その原因も幅広いです。
- お腹が痛い
- 便秘・下痢になる
- お腹が張っている感覚がある(ガスがたまる)
- 常に残便感がある
- 便に血が混じる
上記のような症状がある場合は何らかの病気を発症している可能性が高く、代表的な例として過敏性腸症候群や感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸がんなどが挙げられます。
病気を発症する原因はさまざまであり、ストレスや遺伝、生活習慣の乱れなどがあります。また、場合によっても服用している薬の副作用によって引き起こされるケースもあり、個人によって大きく異なることが特徴です。
悪化を防ぐためにも、少しでも違和感や異常を感じた場合は可能な限り早い段階で医療機関を受診することをおすすめします。
過敏性腸症候群の主な症状
過敏性腸症候群とは、慢性的に下痢や便秘を繰り返すといった便通異常が起こる病気です。
腹痛を伴う場合が多く、お腹が張ってガスが出やすくなります。
- 常にお腹の調子が悪い・痛い
- 便秘や下痢が続いている
- 排便の回数が不規則
- 体重が減少した
過敏性腸症候群は腸にポリープや炎症などがない場合でも症状が現れることが特徴であり、排便すると違和感や痛みが軽くなることが多いです。
自律神経の異常によって腸の蠕動運動にトラブルが生じることで発症すると考えられています。
過敏性腸症候群の主な原因(危険因子)
過敏性腸症候群は、ストレスや自律神経の乱れが原因であると考えられています。
女性に多く見られる病気であり、加齢とともに発症率が低下していきます。有症率は「10%〜15%」ほどと見られており、近年は増加傾向にあります。
改善するためには、食事や生活習慣の見直しが大切であり、内服薬による治療も可能です。
それでも改善しない場合は、原因となっているストレスを和らげるために、抗不安剤や抗うつ剤を使用することもあります。
潰瘍性大腸炎の主な症状
潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜が炎症をおこすことで、腸内がただれ、びらんや潰瘍を形成する病気のことをいいます。
- お腹が痛い
- 理由もなく体重が減った
- 食欲がない日が続いている
- 便秘や下痢になる
- 血便や粘血便が出る
潰瘍性大腸炎は厚生労働省から難病として指定されている病気です。
しかし、適切な治療を受けて症状を抑えることができれば、健康な方と変わらない日常生活を送ることもできます。
潰瘍性大腸炎は放置すると悪化する一方であるため、上記のような症状が見られる場合は早急に医療機関を受診してください。
潰瘍性大腸炎の主な原因(危険因子)
自己抗体の産生や免疫の異常、大腸上皮細胞の異常が原因であると考えられていますが、明確な原因については現在も不明です。
元々は欧米人に多く見られる病気でしたが、近年では日本でも急速に患者数が増えています。
潰瘍性大腸炎は20代〜30代に多く見られます。一時的に症状が治まることがありますが、数ヵ月~数年後に突然悪化するリスクがあるため、注意が必要です。
大腸がんの主な症状
大腸がんとは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍のことをいいます。
食生活の欧米化に伴い患者数が増加しており、男性と女性ともに罹患者数と死亡者数が多い病気です。
- お腹が痛い
- 吐き気や嘔吐がある
- 便が細い時がある
- 便秘や下痢になる
- 血便が出る
大腸がんは早期の段階では無症状である場合がほとんどであり、進行することで少しずつ症状が現れることが特徴です。
大腸がんそのもので痛みが生じることはありません。発症に伴う痛みは多くの場合、腸管の通りが妨げられていることに由来します。
自身で発症に気づくことは難しく、精密検査や大腸カメラ検査で偶然見つかるケースが多く見受けられます。
進行してしまうと手遅れになる恐れもあるため、違和感や痛みを感じる場合は早急に大腸カメラを受けることをおすすめします。
大腸がんの主な原因(危険因子)
大腸がんの発生原因はさまざまであり、大腸がんの家族歴・既往歴、アルコールの大量摂取、肥満、運動不足、喫煙、糖尿病などが挙げられます。
遺伝的や年齢などの要因が複雑に関与することで、発がん遺伝子の活性化が生じると考えられます。
また、良性の大腸ポリープががん化することで大腸がんになるケースもあるため、注意が必要です。
大腸ポリープの主な症状
大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部がいぼ状に隆起することをいいます。
大腸全体に発生するものです。
- お腹が痛い
- お腹が張る感覚がある
- 血便が出る
- 便が細い時がある
- 便意はあるのに便が出ない
ほとんどの場合無症状ですが、ポリープが大きくなると腹痛や血便、便通異常に発展します。
40歳以上のスクリーニング目的で行われる便潜血検査や大腸カメラ検査で発見されることが多く、年齢に伴い増加する傾向にあります。稀に若年者にも見られます。
大腸ポリープの主な原因(危険因子)
大腸がんの主な原因は食生活の欧米化と考えられており、高カロリーな食事、肉類の過剰摂取、過度の飲酒や喫煙などさまざまです。
人口の高齢化に伴い患者数は年々増加しており、ポリープが多発する(ポリポーシス)場合は、遺伝的な要因が関与している可能性もあります。
大腸憩室の主な症状
大腸憩室とは、大腸の粘膜の一部が腸管内圧の上昇により嚢状に腸壁外に突出したものであり、多発した場合は大腸憩室症といいます。
- お腹が痛い
- 発熱する時がある
- 血便が出る
- 便秘や下痢になる
大腸憩室はほとんどの場合無症状です。しかし、長時間憩室に便が溜まったままの状態が続くと、内部で細菌が増殖し炎症を引き起こす可能性があります。
放置した場合は腸管穿孔や膿瘍の形成につながる恐れがあるため、注意が必要です。
大腸憩室の主な原因(危険因子)
大腸憩室は高齢化と食生活の欧米化が主な原因であり、食物繊維が少ない食事をとることで便秘になり、腸管内圧の上昇が起こると考えられます。
大腸憩室は無症状である場合がほとんどであり、大腸カメラ検査で偶然発見されることが多いです。
ただし、合併症として憩室炎や憩室出血などが起こり得るため、注意が必要です。
クローン病の主な症状
クローン病は、大腸と小腸を中心に発生する病気であり、消化管に炎症を起こし、びらんや潰瘍を生じさせます。
- お腹が痛い
- 便秘や下痢になることが多い
- 定期的に発熱が起こる
- 理由もなく体重が減った
- 貧血や倦怠感が続いている
当初は回腸末端を侵す病気であると考えられていましたが、研究が進んだことで口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に起こりうることがわかりました。
クローン病は発症部位によって現れる症状が異なる特徴があり、軽い腹痛の場合もあれば関節炎や虹彩炎、肝障害などの全身性合併症に発展することもあります。
クローン病の主な原因(危険因子)
クローン病の発生原因はいまだに不明です。現在のところ遺伝的要因や疾患感受性遺伝子などが関与し、免疫系の異常が生じることで発症すると考えられています。
クローン病に対する根治療法はなく、万が一発症した場合は長期的な治療が必要です。そのため、日本では難病疾患の一つとして認定されています。