大腸カメラ検査は、大腸の腫瘍や炎症などの病変が疑われる際に行われますが、自身にとって検査の必要性がどれくらいあるのか気になる方も多いでしょう。
大腸がんになる危険因子を発見するための重要な検査であり、自覚症状がない場合でも定期的に受検することが推奨されています。
この記事では、大腸カメラ検査の必要性や女性が安心して検査できるポイントなどを解説します。
大腸カメラ検査の基礎知識
大腸カメラ検査とは、先端にカメラのついた内視鏡を肛門から挿入し、画像で大腸の内部を観察する検査です。
検査を受ける意味や意義は、以下の3つです。
- 症状がある方の場合、原因を特定し適切な処置を実施する
- 治療が必要な疾患の早期発見、適切な処置の実施
- 疾患が既にある場合、変化がないかの経過確認
大腸カメラ検査でどのような疾患のリスクを発見できるのか、また、検査に向けてどのような準備が必要になるのかを紹介します。
大腸カメラ検査で発見できる疾患のリスク
大腸カメラ検査で発見につながる代表的な疾患は、大腸がんです。
他にも、大腸ポリープや潰瘍性大腸炎といった疾患、またはクーロン病などの特殊な腸炎のリスクが発見される場合もあります。
大腸ポリープは、肥大化・悪性化によってがん化するリスクが高まる危険因子です。したがって、大腸ポリープのサイズや位置、深さに応じて、内視鏡での切除を検討します。
潰瘍性大腸炎やクーロン病は、どちらも炎症性腸疾患の一種です。炎症性疾患のなかでもクーロン病はどこの消化管でも発生する可能性があり、完治する治療法がなく難病指定されています。
検査に合わせて大腸の内部を空っぽにする
大腸に便が残っている場合、カメラが通りづらい、内部を鮮明に観察できないなどの問題があります。そのため、検査の前日から下剤などを使用して、大腸の内部を空っぽにしておくことが必要です。
腸管洗浄液の量が1〜2リットル程度であり、大腸内の便をすべて排出するまで苦痛を感じる方もいます。
ただ、最新の下剤ではおよそ600mlの少量で済むものなどもありますので以前に比べるとだいぶ楽になっています。
最新の内視鏡や熟練した医師の手腕により、検査は短時間で済むため安心してください。大腸カメラ検査で異常所見が見つかった場合は、的確な処置や治療が速やかに検討されます。
大腸カメラ検査の必要性がある症状とは
以下のような症状が見られている場合、大腸カメラ検査の必要性が高いです。
- 血便が出たり、便潜血検査で陽性が出たりした方
- 便秘や下痢が長期間続く方
- 粘液便が続く方
- 残便感がある方
- 最近出る便が細くなってきた方
- 腹痛や腹部の膨満感が長期間継続している方
便に何らかの異変が生じている場合、大腸を含める消化管に病変がある可能性があります。
これらの異変を感じた場合は、速やかに大腸カメラを受けるようにしましょう。
40代以上は大腸カメラ検査の必要性がさらに高まる
大腸がんは年間の死亡者数が5万人を超えており、肺がんに続く死亡原因の疾患として重要な病気に位置付けられています。
部位別がん死亡数に関しては、女性の場合、大腸がんが1位です。(参考:全国がん登録罹患データ)大腸がんの治療の成功には、早期発見・早期治療が非常に重要とされています。
大腸がんの発症リスクは40代を起点に大きく上昇
大腸がんは、男女問わず40代を起点に罹患率・死亡率が上昇する傾向にある疾患です。
以下の条件に当てはまる方は、特に大腸がんのリスクが高いとされ、定期的に大腸カメラ検査を受けることが望まれます。
- 食事内容が偏っており、肉類(赤肉・加工肉)の摂取量が多い
- 運動不足で肥満傾向
- 飲酒量が多い、喫煙している
- 糖尿病をもっている
- 炎症性腸疾患の既往歴や診断歴があるなど
40代以上かつ上記に1つでも当てはまる方は、1度大腸カメラを受けてみましょう。大腸がんの危険因子を早期に発見できれば、症状の深刻化をおさえながら健康的な生活を長く維持できる可能性が高まります。
便に違和感を感じたら大腸カメラを検討する
便に違和感を感じたり消化管関連に違和感を感じたりした場合、大腸カメラ検査を受ける必要性が高いです。
食生活の変化や生活習慣の変化により、大腸がんの発症率は若年化傾向にあります。定期的に受ける健康診断の便潜血検査で陽性と診断されたり、便に何らかの異常が生じたりした方は、特に大腸カメラの必要性が高いと言えるでしょう。
いつもとは違う便が出たとき、「自分はまだ若いから大丈夫」と思わず、1度大腸検査を受けてみることをおすすめします。
自覚症状がなくとも大腸カメラ検査を受けるべき
便に異変が生じていない、消化管の不調を感じていないという方でも、40歳を過ぎたら1度は大腸カメラを受ける必要性があります。
なぜなら、大腸がんの発症年齢が若年化傾向にあるからです。特に30代後半や40代の方の発症率が増加の傾向にあるため、年齢問わず、大腸カメラ検査を受けることが望ましいです。
早期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、便の異変を感じていない場合でも、リスクに備えて早めの検査をおすすめします。
便潜血検査で陰性が出た場合の大腸カメラの必要性
便潜血検査が陰性だったとしても、大腸カメラを受けなくて良い理由にはなりません。
便潜血検査は大腸がんの検査の1つであり、陰性であれば大腸がんの可能性は高くありません。しかし、陰性の場合でも大腸ポリープや大腸がんが発症しているケースが一定数存在します。
本来は陽性であるにもかかわらず、検査で陰性が出る状態を偽陰性と言います。偽陰性は確率として高くはありませんが、大腸がんのリスクをより高い精度で判断したい場合は、大腸カメラ検査を受ける必要性が高いです。
便潜血検査で陽性が出た場合の大腸カメラの必要性
症状の有無に関わらず、便潜血検査で陽性が出た場合、大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。
40歳以上の方で無症状の方であっても、市の検診などで便潜血検査を受け、陽性が出た場合は早めに大腸カメラを受けましょう。
便潜血検査は便に血の成分が入っているかを見ているだけなので、個々人レベルでは十分とは言い難いです。自身の健やかな人生のためや、家族に心配や負担をかけないためにも、大腸がんのリスクが上昇する年齢では、1度大腸カメラの必要性を検討してください。
大腸カメラ検査は女性の方でも安心して受けられる
大腸がんの死亡リスクは、男性よりも女性の方が高い傾向にあります。とはいえ、検査でデリケートな部分を見せることに抵抗があるという方もいるでしょう。
大腸カメラ検査は、女性の方に配慮した検査が行われますので、安心して受けていただけます。
それでも検査に抵抗のある方に向けて、女性のための大腸カメラ検査の準備や心構えを紹介します。
デリケートな部分を見られるのが恥ずかしい場合
多くのクリニックでは、大腸カメラ検査のサポートに女性の看護師が対応します。
そのようなクリニックでは、最大限女性の患者さまに対する配慮がなされているため、安心して大腸カメラ検査を受けられるでしょう。
下腹部のムダ毛の処理が必要なのではないか、ムダ毛が原因で検査に支障が生じるのでは、と心配される患者さまもいますが、ムダ毛が原因で検査に支障をきたすことはありません。検査時には下腹部が隠れるよう布を敷いたり、検査用のハーフパンツを履いたりといった配慮がなされます。
検査日に生理がきてしまった場合
検査当日に生理がきてしまった場合でも、多くのクリニックでは予定通り検査の実施が可能です。経血の量が多くて気になる方は、タンポンを利用するなどしましょう。
検査時には、検査着や検査用の紙パンツを着用し、検査台の上にはシートが敷かれるため、出血が起こっても問題ありません。不安を感じている方は、事前に医師や看護師に相談するようにしましょう。リラックスして検査を受けられるようなサポートを得られます。
妊娠の可能性がある場合
妊娠中や妊娠の可能性がある場合、大腸カメラで使用される鎮痛剤の影響による母子の健康状態が保証されません。そのため、妊娠中や妊娠の可能性がある女性は大腸カメラを受けることができません。
ただし、何らかのお腹の症状の自覚がある場合などは、産婦人科併設の総合病院などで対応する場合があります。
母子の健康を守ることはもちろん重要ですが、母体の健康を守ることも同じくらい重要であるからです。自身に大腸がんの可能性があるかもと心配の場合、まずはかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。
検査当日におすすめの服装
検査先によって用意されている検査着は異なります。
検査着は、上下がつながっているワンピースタイプか、下だけ着替えるパンツタイプのどちらかが一般的です。
いずれにしても、検査時に着替える必要があるため、脱ぎやすい服装がおすすめです。仕事先からスーツで直接クリニックに行かれるような場合は、当日の服装に関して相談してみると良いでしょう。
まとめ
かつでの大腸がんは、特に50代以上の方に発症しやすい疾患でしたが、食の欧米化や生活習慣の変化で若年化傾向にあります。
大腸がんは男女問わず、がんの中でも死亡割合が高い分類ですが、早期発見・早期治療により治療率が高まる可能性のある疾患でもあります。そのため、自身の年齢や症状に応じて、早めに1度大腸カメラ検査を受けてみることを検討しましょう。
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