経鼻内視鏡検査は、鼻から細いスコープを挿入して消化器官を観察し、処置や治療を行う医療検査です。
口からスコープを挿入する経口内視鏡検査と比較しても、嘔吐感や呼吸のつらさなどが軽減されて心身ともに少ない負担で検査ができます。
しかし、経鼻内視鏡検査は苦痛が少ないというだけではなく、デメリットとなる部分も存在します。
メリットだけではなくデメリットも把握しておくことで、より最善の検査方法を選択することが可能になるでしょう。
この記事では、経鼻内視鏡検査のデメリット、検査前に知っておきたいリスクや注意点について詳しく解説します。
経鼻内視鏡検査を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
経鼻内視鏡検査のデメリット
経鼻内視鏡検査は苦痛が少ないメリットだけでなく、さまざまなデメリットが存在します。あらかじめデメリットを知っておけば、実際の検査を安心して受けられるでしょう。
ここでは、経鼻内視鏡検査のデメリットについて解説します。
検査時に痛みを感じやすい
経鼻内視鏡検査は、鼻に挿入される際に痛みや違和感を感じることがあります。
特に鼻腔内が狭い場合は痛みを感じやすいという方もいますが、当院では直径わずか5.8ミリの細径内視鏡を用い、局所麻酔を使用するため、大きな痛みの心配はありません。
検査時間も概ね5~10分程度で終了するため、痛みや違和感に長時間耐える必要もありません。
ただし、痛みを抑えるための局所麻酔によって、検査後に鼻水やくしゃみがしばらく止まらないなどの副反応が現れる場合もあります。基本的に検査後約1時間以内で症状はおさまりますが、症状の改善が見られない場合は医師へ相談してください。
鼻腔内の粘膜が傷ついて出血する可能性がある
検査の過程で鼻腔内の粘膜に傷がついて出血する可能性があります。
経口内視鏡よりも直径の小さな内視鏡を使用するものの、鼻腔をスコープが通るため、粘膜を傷つけてしまい、軽い痛みとともに出血してしまう場合もあります。
基本的には大きな問題もなく止まりますが、出血が止まりにくい場合は鼻の付け根を強く圧迫して止血してください。
また、以下に該当する方は鼻からの出血が止まりにくい場合があります。
- 血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固剤を内服している方
- 肝硬変や血液疾患など、血の止まりにくい疾患をお持ちの方
- 普段から鼻血が出やすい方
- アレルギー性鼻炎の症状が強い方
- 血圧が高い方
該当する方は、無理をせずに口から挿入する経口内視鏡検査を検討しましょう。
鼻腔内が狭い場合は検査を受けられない
鼻腔内が狭い場合は、経鼻内視鏡による検査を受けられない場合があります。
片側の鼻腔が狭いのであれば、反対側の鼻腔から経鼻内視鏡を挿入しますが、どちらの鼻腔でも挿入が難しい場合は同意を得て経口内視鏡による検査が行われます。
特に鼻中隔彎曲症のある方や、鼻炎の症状が強い方は経鼻内視鏡検査を受けられない可能性があるため、経鼻内視鏡検査が可能か事前に医師へ相談しておきましょう。
低い画質で病変の見落とす可能性がある
経鼻内視鏡検査では、鼻から挿入されたカメラが撮影した映像をもとに診断が行われますが、経口内視鏡よりも直径の小さなスコープを使用します。
そのため、太い経口の内視鏡と比較すると画質や明るさが劣り、正確な診断が難しいことがありました。
しかし、当院では直径5.8ミリのフジフィルム社最新の細径内視鏡、光源となる最新のLEDを導入しており、小さな病変の見落としを防ぎながら質の高い検査が可能となっています。
鉗子口が細く病変によっては処置や治療ができないこともある
経鼻内視鏡検査に使用される鉗子口は、経口内視鏡検査と比較しても細く、病変によっては処置や治療ができない場合があります。
内視鏡検査は消化管内部の観察だけではなく、病変の採取や切除など、処置や治療を同時に行います。早期胃がんの切除といった内視鏡による治療の際には経口内視鏡で処置を行うのが一般的です。
経鼻内視鏡検査はデメリットだけではない!苦痛の少ない検査が可能なメリットも!
経鼻内視鏡検査はデメリットだけではなく、以下のようなメリットがあります。
- 検査中の嘔吐感が少ない
- 検査中に会話ができる
- 麻酔なしでも検査が可能
特に、スコープを挿入する際に感じる嘔吐感を感じにくいのがメリットとなります。
経口内視鏡検査の場合、スコープが舌の付け根に触れて「オエッ」という嘔吐感を感じることがありますが、経鼻内視鏡検査はスコープが触れないため、少ない苦痛で検査できます。
また、スコープで口が塞がれないため、検査中でも医師と会話ができます。検査中に気になることだけでなく、体調が優れない場合でも医師へ言葉で直接伝えることが可能です。
経鼻内視鏡検査を受ける前に知っておきたいリスクや注意事項
経鼻内視鏡検査には、さまざまなリスクや検査を行う前に知っておきたい注意事項があります。実際に検査を行う前に把握していれば、安心した気持ちで検査を行えるでしょう。
ここでは、経鼻内視鏡検査を受ける前に知っておきたいリスクや注意事項を解説します。
場合によっては検査自体を受けられない
経鼻内視鏡検査は、以下のような場合に検査自体を受けられないことがあります。
- 鼻の手術経験のある方
- アレルギー性鼻炎の症状が強い方
- 鼻中隔彎曲症の方
苦痛の少ない経鼻内視鏡検査を希望していたとしても、医師の診断結果によっては鼻からスコープを挿入することができず、口からスコープを挿入する経口内視鏡検査に変更される場合もあります。
極まれに合併症が起こる可能性がある
経鼻内視鏡検査では、以下の合併症が発生する可能性があります。
- 内視鏡挿入時に鼻腔の粘膜を傷つけることによる出血
- 生検によって食道、胃、十二指腸などに穴があく穿孔
- 麻酔薬によるアレルギー
これらの合併症が発生した場合は、入院や処置、手術が必要になることもありますが、基本的に合併症が発生する可能性はほとんどありません。
日本消化器内視鏡学会報告によると、合併症の発生率は0.005%、死亡率は0.00019%と、検査全体から見ても極めて低くなっています。
検査前日からの食事内容には注意が必要
経鼻内視鏡検査を受ける際は、検査前日からの食事内容に注意が必要です。固形物が胃の中に残っている場合、検査の妨げになってしまいます。
検査前日の夕食は、油っぽいものを避けてできるだけ消化の良いものを食べてください。また、午後9時以降は固形物を食べず、水分補給だけで済ませます。
検査当日の朝も固形物は食べず、水やお茶などで水分補給を行ってください。コーヒーや牛乳、ジュースなどは検査の妨げになる可能性があるので控えるようにしましょう。
そのほか、食事内容で気になる点があれば、受診時に医師へ確認してください。
検査終了後の車やバイクの運転は控える
経鼻内視鏡検査後は、車やバイクの運転を控えるようにしてください。
経鼻内視鏡検査は鎮痛剤を使用しない場合は、車やバイク、自転車でのご来院や検査後の運転にも問題ありませんが、局所麻酔を使用した場合は運転を控えるようにしましょう。
万が一の事故を防ぐためにも、車やバイクの運転は翌日以降にしてください。
検査後に車やバイクの運転が必要な方は、医師と相談のうえ、局所麻酔等を使用しない経鼻内視鏡検査を選択しましょう。
まとめ
経鼻内視鏡検査は、経口内視鏡検査よりも細いスコープを鼻から挿入し、少ない苦痛で検査が可能な方法です。
しかし、経鼻内視鏡検査はメリットだけでなく、検査による出血や痛み、合併症のリスクなど、少なからずデメリットになる部分があります。
経鼻内視鏡検査は病気の早期発見・治療につながる重要な検査であるため、消化器官に何かしらの不安を抱えている方は、早めの検査を推奨します。
JR横浜線・東急東横線「菊名駅」より徒歩1分、横浜市にある『菊名キュアーズクリニック』では、安全かつ安心で楽な内視鏡検査に取り組んでいます。
当院で使用する内視鏡は、フジフィルム社の最新機器を使用しており、鼻からでも口からでも少ない苦痛で検査が可能です。
胃痛や胃もたれ、胸焼けや胸の違和感など、消化器官に不安を感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。